Last Update : 2004/04/15

「PowerShot A75/A70」比較レポート

「PowerShot A75」  3月19日に「PowerShot A70」の後継機、「PowerShot A75」が発売されました。

 前モデルの「PowerShot A70」は、デザインこそ無骨ですが、 “300万画素光学3倍ズーム”というエントリークラスの中でも、 画質と性能のバランスが取れたオススメのデジカメでした (実際に両親用として購入しました)。

 後継機の「PowerShot A75」はどこが改善されたのか、 少し気になってたんですが、ちょうど弟が発売日に購入したので、 実家の「PowerShot A70」と一緒に拝借して数日使用しました。 その感想を、簡単ながらレポートします。

「PowerShot A75」の変更点

 「PowerShot A70」から変わった点は以下の通りです。

<主な変更点>
 ・ボディデザイン、ボタン形状、配置の変更
 ・液晶モニターの大型化・高精細化(1.5インチ 7.8万画素 → 1.8インチ 11.8万画素)
 ・スペシャルシーンモードの追加
 ・AiAF(測距枠)の増加(5点→9点)
 ・イージーダイレクトボタンの追加
 ・SI(縦横自動検知)センサーの追加
 ・L判プリントモード(記録画素数)の追加
 ・再生時のヒストグラム表示の追加
 ・約15gの軽量化

 CCDやレンズなど、上記以外のスペックはほとんど変わっていません。

変更点についての感想

A70/A75本体前面
A70/A75本体背面
A70/A75本体上部

ボディデザイン、ボタン形状、配置の変更

 前面部や上面部はあまり変わっていませんが(グリップ部の形状変更やズームレバーの大型化など)、 背面部は大幅にブラッシュアップされました。
 一番大きな変更点は、十字キー周りのレイアウトです。 カシオのエクシリムやオリンパスのC/Xシリーズのように、 SET(決定)ボタンが十字キーの中心部へと移動されました。 また、撮影・再生時の設定変更を行うMENUボタンとFUNCボタンも、 十字キーのすぐ左側に配置されたので、 ほとんどすべての操作を右手だけで行えるようになりました(※注1)。 操作性は確実に良くなったと言えるでしょう。
 あと、以前はちょっと安っぽかったレバー式のモードスイッチ(撮影・再生切替)が、 「PowerShot A80」と同様の上下スライド式になり、デザインも少しだけ洗練されました。

※注1 「PowerShot A70」や「IXY DIGITAL」シリーズは、 SETボタンが十字配列ボタンと離れているため、両手を使って操作する必要があります。
 参考:BeBit > PowerShot A70 > 各部名称 > 解説 > 十字配列ボタン


液晶モニターの大型化・高精細化

 液晶モニターは1.5インチから1.8インチへと約1.4倍の大きさにアップし(※注2)、 画素数も7.8万画素から11.8万画素へと増加しました。 最近のデジカメに見られる「液晶モニターは大型化したけど、画素数はそのまま」とか、 「大型化したけど画素数が落ちた(※注3)」ということもありません。
 1.8インチになったことで、撮影時のフレーミングや再生時のピントチェックの快適度が格段にアップしています。 さらに表示されるアイコンや文字も大きく、見やすくなっています。 一度この大きさに慣れてしまうと、もう1.5インチには戻れないですね。

※注2(1.8÷1.5)2=1.44倍
※注3 例えば、「DiMAGE Xt」が「DiMAGE Xg」へとマイナーチェンジした際、 液晶モニターが1.5インチから1.6インチへと大きくなりましたが、 画素数は11万画素から8.5万画素に落ちました。 ITmediaのレビュー には、「従来機と同じ」と書かれていますけどね。


スペシャルシーンモードの追加

 撮影場所や季節などのシーンを選択するだけで、 簡単に最適な撮影が行える「スペシャルシーンモード」が追加されました。 簡単に言うと、カシオの「エクシリム」シリーズで有名な「ベストショットモード」みたいなものですね。
 シーン数は、「新緑/紅葉」「スノー」「ビーチ」「打ち上げ花火」「水中」「パーティー/室内」という6種類。 今回はこれらのモードを使う機会がありませんでしたが、 こういったシーンを撮影する機会が多い人には、うれしい機能追加ですね。 ま、専用の防水ケース(1万9800円)を用意しないといけない「水中」を使う人は、 あんまりいないと思いますが…。(^-^;


AiAF(測距枠)の増加(5点→9点)

 測距枠(被写体との距離を測るフレーム)が5点から9点に増えました。
space 測距枠 space
測距枠 測距枠 測距枠
space 測距枠 space
測距枠 測距枠 測距枠
測距枠 測距枠 測距枠
測距枠 測距枠 測距枠
 被写体が中央から外れていても、他の測距枠のどれかにかかっていれば、自動的にピントを合わせてくれます。 被写体の位置を気にせずに自由なフレーミングで撮影できるので、 初心者が陥りがちな「日の丸構図(※注4)」になるのを防げるわけですね。
 AFの合焦精度は結構良いんですが、 やっぱり「9点測距」でも自分の意図とは違った場所にピントが合うことがあります。 特に、フォーカスロック&構図移動に慣れている人は、イライラするでしょう。 そんな時は「AiAFをオフ」に設定して測距枠を中央1点だけに固定しましょう。 ちなみに私は、測距枠が中央固定の「PowerShot G3」に慣れているので、 常に「AiAFをオフ」にしています。
 というわけで、カメラ初心者には「9点測距AiAF」が役立つと思いますが、 中央固定の撮影に慣れた人には、「5点測距」でも「9点測距AiAF」でもあんまり変わりはないと思います。

※注4 日本の国旗「日の丸」のように、被写体が中央にばかり配置された構図のこと。 もちろん、日の丸構図のすべてが悪いわけではありませんが、 測距枠が中央固定のデジカメで構図を考えずに撮影すると、 日の丸構図になることが多いです。 …と偉そうに解説しておきながら、一番下にあるサンプル画像は日の丸構図ばかりですが(笑)。


イージーダイレクトボタンの追加

 液晶モニターの下に「イージーダイレクトボタン」が追加されました。 PictBridge対応プリンタやPC(Windowsのみ)と接続すれば、 このボタンを押すだけで、簡単にプリントを行ったり、撮影画像をPCに転送することができます。 ダイレクトプリントやカメラからの画像転送を頻繁に行っている人には便利な機能だと思います。
 でも私の場合、プリントは「カメラのキタムラ」、PCへの画像転送はカードリーダー経由で行っているので、 あんまりメリットは感じられませんでした。


SI(縦横自動検知)センサーの追加

 カメラの縦横向きを検知する「SI(Super Intelligent)センサー」が搭載されました。 カメラを縦に構えて撮影する時に、地面にピントが合ってしまう誤測距を防ぐほか、 太陽や空などの上部からの光による露出やホワイトバランスに与える影響を最小限に抑えるそうです。 また、縦位置で撮影した画像を再生時に回転して表示することもできるようになりました(こちらは設定でオンオフ可能)。
 どちらも縦構図で撮影する機会が多い人には、あると便利な機能でしょう。 ちなみに私は「PowerShot G3」の回転表示はオフにしています。 三脚使用時などは画像が回転されると逆に見にくくなりますし、 何より回転表示に多少時間がかかるのが嫌なんですよね。


L判プリントモード(記録画素数)の追加

 記録画素数の設定に「L判プリントモード」が追加されました。 これを選ぶと、画素数が200万画素(1600×1200)、圧縮率がファインに設定されます。 また、日付や時間を画像に写し込むこともできます(設定でオンオフ切替可能)。
 「L判プリントモード」の謳い文句は、“L判やハガキサイズにプリントする場合に最適な画質で撮影が行える”ですが、 後処理(色調補正やトリミングなどのレタッチ)や、将来L版以上の大きさでプリントする可能性もあることなどを考えると、 “記録メディアの容量が残り少なくなった”というような緊急時以外は、 300万画素(2048×1536)で撮影した方が良いと思います。
 でもウチの両親みたいに、“いつも撮りっぱなしでプリント&画像加工なんてしない”という人には、 「L判プリントモード」が役立つのかもしれませんね。


再生時のヒストグラム表示の追加

 撮影した画像の輝度分布を確認できるヒストグラム表示が可能になりました。 撮影後にこのヒストグラムを見れば、露出状況や白飛び・黒つぶれの有無を判断できるので、 撮り直しをするかどうかの参考になります。
 しかし、表示できるのは再生時だけで、残念ながら撮影時にヒストグラムを確認することはできません。 撮影時にヒストグラムを見ることができれば、撮り直しの可能性が少なくなるので便利なんですけどね。
 ま、キヤノンのデジカメはフラッグシップの「PowerShot Pro1」でも、 撮影時のヒストグラム表示はできませんから、「PowerShot A75」が無理なのも仕方ないでしょう。


約15gの軽量化

 本体の大きさは変わっていませんが、ちょっとだけ軽くなりました。 といっても、100円玉3枚分ほどの軽量化なので、 撮り比べをしていてもほとんど違いは分かりませんでしたが(笑)。 でも、いつもデジカメを持ち歩く人には、少しでも軽い方が良いでしょう。
 ちなみに「PowerShot A75」の200gという重量は、 一般的なコンパクトデジカメとしてはそれほど軽くありません。 どちらかといえば重い方ですね。 でも、あんまり小さすぎて軽すぎるとシャッターを切った時に手ブレする可能性がありますから、 個人的にはこれくらいの大きさ&重さがある方が快適に撮影できると思いますけどね。

結論

 冒頭で「PowerShot A70」をエントリークラスの中で、 画質と性能のバランスが取れたオススメのデジカメと書きましたが、 後継機の「PowerShot A75」でもその印象は変わりませんでした。

 ワイコンやテレコン、防水ケースなどのオプションが用意されていて拡張性が高く、 P/AV/TV/Mなどの各種マニュアル露出モードを使えば、被写界深度(ピントが合う範囲)やシャッタースピードを自由にコントロールすることができます。 フレームレートは15fpsですが、VGAサイズの音声付動画も撮影可能。 単3電池駆動なので電池切れの時もバッテリー補給が容易ですし、 それ以前にバッテリーの持ちは充分すぎるほど良いです。 ホワイトバランスも安定していて、ほとんど「オート」でOK。 オートフォーカスや露出の精度も高いです。

 何より素晴らしいのが、その画質です。 デジタル一眼レフの「EOS Kiss Digital」や、 レンズ一体型デジカメのフラッグシップ「PowerShot Pro1」にも 搭載されている映像エンジン“DIGIC”は「PowerShot A75」でも健在。 記憶色重視の画像は見栄えが良く、レタッチする必要もありません。 特にISO50は非常にノイズレスで高画質です。

 さて、長所だけを書き連ねるのは主義ではないので、短所についても触れておきます。 「PowerShot A75」の起動時間は約2.6秒、 連写速度は約2.2画像/秒と高速を謳うデジカメと比べると、それほど速くありません。 ボディは分厚くてコンパクトとは言い難く、デザインも平凡。 単3電池4本駆動のため、撮影時の重量はどちらかと言えば重い部類に入ります。 「いつも持ち歩いて、撮りたい時にサッと撮る」というようなスナップデジカメを求めている人には、 ベストバイではありません。 重要視するポイントが携帯性やデザインなら、「IXY DIGITALシリーズ」や「エクシリムシリーズ」を選んだ方が幸せになれるでしょう。

 しかし、このデザインや大きさが許容できる人には、 自信を持って「PowerShot A75」をオススメできます。 コストパフォーマンスに優れた普及機ながら、 初心者から中級者まで対応できる高い性能を持っていますから。 「私はカメラ初心者だから、各種マニュアル露出モードや拡張性の高さなんて必要ない」 と思う人もいるかもしれませんが、 カメラに慣れて撮影が面白くなってくると、 これらの点がないと物足りなくなってくるんですよね (ま、そんな時は買い換えるという手もありますが)。

 最後に、「PowerShot A75」と「PowerShot A70」のどちらを買おうか迷っている人にアドバイスを。 画質に関しては、ほとんど違いはありません。 十字キー周りのレイアウト見直しによって、「PowerShot A75」の操作性は格段に向上しましたが、 その辺りは慣れでカバーできる部分も多いでしょう。 一番大きな違いは、液晶の大きさですね。 光学ファインダーを使わずに液晶モニターを見て撮影している人は、 「PowerShot A75」を選んだ方が良いと思います。 フレーミングやピントチェックのやりやすさが断然違いますから。 そのほかの変更点は(個人的には)些細なものだと思いますので、各自必要かどうか判断してみてください。

サンプル画像

すべてプログラムAEで撮影したため、両機種の絞り値とシャッタースピードが一部異なっています。
主な撮影設定は以下の通りです。

 ・解像度:2048×1536
 ・圧縮率:スーパーファイン
 ・AE:プログラムAE
 ・ホワイトバランス:オート
 ・ISO感度:50(最後の画像のみISO400)

これ以外の設定は、Exif情報を参照してください。

<サンプル画像>
「PowerShot A70」 「PowerShot A75」
「PowerShot A70」
公園の野良猫(テレ端)
露出時間 : 1/200秒
レンズF値 : F4.8
サイズ : 1,845KB
「PowerShot A75」
公園の野良猫(テレ端)
露出時間 : 1/200秒
レンズF値 : F4.8
サイズ : 1,881KB
「PowerShot A70」
公園の野良犬(テレ端)
露出時間 : 1/250秒
レンズF値 : F4.8
サイズ : 1,700KB
「PowerShot A75」
公園の野良犬(テレ端)
露出時間 : 1/200秒
レンズF値 : F4.8
サイズ : 1,462KB
「PowerShot A70」
菜の花畑(ワイド端)
露出時間 : 1/1000秒
レンズF値 : F4.0
サイズ : 2,157KB
「PowerShot A75」
菜の花畑(ワイド端)
露出時間 : 1/500秒
レンズF値 : F5.6
サイズ : 2,165KB
「PowerShot A70」
マクロ(ワイド端)
露出時間 : 1/1000秒
レンズF値 : F3.5
サイズ : 1,002KB
「PowerShot A75」
マクロ(ワイド端)
露出時間 : 1/500秒
レンズF値 : F5.0
サイズ : 1,050KB
「PowerShot A70」
マクロ(テレ端)
露出時間 : 1/30秒
レンズF値 : F4.8
サイズ : 1,201KB
「PowerShot A75」
マクロ(テレ端)
露出時間 : 1/25秒
レンズF値 : F4.8
サイズ : 1,188KB
「PowerShot A70」
ISO感度 : 50
露出時間 : 1.00秒
レンズF値 : F2.8
サイズ : 939KB
「PowerShot A75」
ISO感度 : 50
露出時間 : 1/1.3秒
レンズF値 : F2.8
サイズ : 890KB
「PowerShot A70」
ISO感度 : 400
露出時間 : 1/8秒
レンズF値 : F2.8
サイズ : 1,639KB
「PowerShot A75」
ISO感度 : 400
露出時間 : 1/10秒
レンズF値 : F2.8
サイズ : 1,475KB
「PowerShot A70」 「PowerShot A75」

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